薬の使い過ぎによる頭痛の予防ポイント、適切な治療で頭痛の悪循環を断ち切る

薬の使い過ぎによる頭痛は頭痛持ちの人が薬剤の使用過多が原因となって起こります。
週に2日以上頭痛薬を飲んでいる人は薬の使い過ぎによる頭痛の予備群になります。
なってしまうとなかなか難しいので薬の使い過ぎによる頭痛になる前に早めに専門医を受診しましょう。
頭痛薬を予防的に飲まない、頭痛ダイアリーをつけることなども薬の使い過ぎによる頭痛の予防につながります。

■薬の使い過ぎによる頭痛
もともと頭痛持ちの人が、痛み止めの薬や片頭痛の治療薬であるトリプタンなどの薬を頻繁に飲むことでけって頭痛が増えて毎日のように起こる状態を薬剤の使用過多による頭痛といっています。

薬の使い過ぎによって脳の中枢神経の痛みの感受性が変化すると、少しの刺激でも頭痛を感じやすくなり、結果として頭痛が増えてくると考えられています。

■薬の使い過ぎによる頭痛のメカニズム
ひどい頭痛を経験した人が頭痛を起こすことへの不安が大きくなったために自己判断で薬を飲むようになってしまうと、薬を飲む回数や量が増えてきます。
その影響で脳が痛みに敏感になって頭痛の頻度が増えることがあります。
また頭痛が複雑化して次第に薬が効きにくくなってきます。
さらに薬の回数や量が増え、そのために頭痛の悪循環を繰り返すようになってしまいます。

■薬の使い過ぎによる頭痛チェック
・もともと片頭痛や緊張型頭痛持ちである
・月に15日以上の頭痛がある
・痛み止めの薬やトリプタンを月に10日以上飲む状態が3ヶ月以上続いている

全て当てはまると薬の使い過ぎによる頭痛の疑いがあります。
薬の使い過ぎによる頭痛は8割が片頭痛持ちの人です。
片頭痛の人はひどい痛みを経験しているので早めに薬を飲まないと悪化してしまうと感じているため頭痛に対する不安や恐怖が大きいといわれています。
そのため少しでも頭痛を感じると早めに薬を飲んでしまいます。
気がつくと10日以上薬を飲んでしまっていることも多く、月の半分は頭が痛いという状態になってしまいます。
薬の使い過ぎによる頭痛を起こす人の約7割が女性となっています。

■薬の使い過ぎによる頭痛の原因となる薬
頭痛・月経痛・腰痛などの痛み止めの薬。
使用日数が多いほど起こりやすくなります。
薬の使い過ぎによる頭痛は、市販の頭痛薬が原因となることが多いです。

■薬の使い過ぎによる頭痛になってしまったら
原因となった薬を止めることが基本となります。
頭痛外来や神経内科を受診して適切な治療を受けることが大切です。

■薬の使い過ぎによる頭痛の治療
最初に医師に説明により薬の使い過ぎにより悪化した頭痛であることをしっかり理解します。
別の頭痛薬を使いながら頭痛薬を飲むのを週2日まで減らすなどの目標を作ります。

原因となっている薬を中止します。
頭痛が起きたときのために別の種類の頭痛薬が処方されます。
もともとの頭痛に合わせて予防薬も処方されます。
予防薬や最低2ヶ月は服用を続けて効果をみます。
(片頭痛の予防薬:カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、ベータ遮断薬、三環系抗うつ薬など)(緊張型頭痛:三環系抗うつ薬など)
トリプタンが原因の場合は、トリプタンの飲み薬は5種類あるので別のトリプタンに変えてみます。
市販の頭痛薬が原因の場合は、その薬に含まれていない単一の成分の頭痛薬を処方します。

薬の使い過ぎによる頭痛であれば徐々に頭痛が軽減されます。
経過がよければ次第に予防薬を減らしていきます。
片頭痛や緊張型頭痛など、もともとの頭痛の症状に戻れば薬の使い過ぎによる頭痛が治ったと判断されます。

専門的な治療により薬70%の人はよくなります。
良くなった人のうち30%の人は1年以内に元に戻ってしまうという報告もあります。
そのため良くなった後も1年間は専門医への通院を続けることが大切になります。

専門的な治療でよくならない場合は、睡眠障害、抑うつ、不安症などがあることもあります。
そのため必要があれば心療内科などの治療も受けることが大切になります。

■治療の目標
●もともと片頭痛
頭痛薬の使用を月10日未満にする。

●もともと緊張型頭痛
薬以外で対処できるようにする。
緊張型頭痛の対処法としては、ストレッチ、頭痛体操、ゆったりお風呂に入るなどがあります。

■薬の使い過ぎによる頭痛の予防ポイント
・頭痛薬の使用は週に2日ほど・月10日未満
・頭痛日数が多い人は主成分が単一の頭痛薬を選ぶ
・頭痛薬を予防的に飲まない
・頭痛ダイアリーをつける事を習慣化する
・頭痛薬を処方してもらう際は使用薬を全て伝える