最高の睡眠をとるポイント、眠り始めの90分で質の良い睡眠を取ることが重要、睡眠負債を解消

■睡眠負債について
睡眠負債とは慢性の睡眠不足のことをいいますが、知らないうちにどんどん睡眠不足が積み重なって様々な病気の発症リスクをの元になると考えられています。
日本人の約40%の人が睡眠負債の可能性があるといわれています。
睡眠負債の解決のためには効率良く質の良い睡眠をとることが大切と考えられています。
急性の睡眠不足はすぐに回復しますが、睡眠負債は本人も気付かないうちに長期間に渡って蓄積されているため簡単には回復しません。

■睡眠負債チェック
・最近 朝の目覚めが悪くなった
・最近 夜の寝付きが悪くなった
・昼間に強い眠気を感じることが増えた
・夜中に何度も起きてしまうようになった
・ちょっとした事でイライラする
・休日は普段より2時間以上長く寝てしまう

1つでも当てはまれば睡眠負債の可能性があります。
1〜2が軽度の睡眠負債、3〜4が中度の睡眠負債、5〜6が重症の睡眠負債になります。

■眠らない女性は太る
睡眠時間が短くなるほど肥満とされるBMI値が高くなっていきます。
つまり眠らない人ほど太りやすくなっています。
眠らないと摂食を抑制するようなレプチンなどのホルモンがあまり出なくなり、逆に食欲を増進するグレリンという物質が多く分泌されるため食べたい気持ちが強くなり、ついつい食べる量が増えてしまいます。

睡眠不足になり脳のコンディションが悪くなるとホルモンバランスが崩れやすくなり太る原因になってしまいます。
眠らないと細胞の再生も悪くなり、肌荒れ、抜け毛、むくみなどが起きやすくなり、その結果体重も増えやすくなったりします。

■睡眠と認知症
起きている間はいろんな物質が産生され、役割が終われば分解されて排泄する必要があります。
その作業は睡眠中に行われているため、睡眠が短いとアルツハイマー型認知症の原因といわれる物質のアミロイドβの沈着の可能性が高くなってしまいます。
認知症のリスクがある人には睡眠制限の負荷が発症リスクになる可能性があります。

アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβという物質が排泄されずに溜まりことなどが原因で発症すると考えられています。
アミロイドβは脳の活動が高い日中に多く分泌され、睡眠中に分解されて脳から出ていきます。
しかし睡眠が十分でないと分解し切れずに溜まってしまいます。
睡眠負債は知らないうちに認知症の原因物質も溜めてしまいます。

■睡眠と免疫
免疫細胞のNK細胞は、ウイルスやがん細胞をやっつけてくれます。
NK細胞は睡眠中に活発に働いてくれます。
しかし睡眠負債があるとNK細胞の働きが低下し、がんなどの様々な病気の原因になってしまいます。

■睡眠は眠り始めの90分で決まる
私たちは寝ている間、深い睡眠と浅い睡眠を交互に繰り返しています。
その中で眠り始めの90分の睡眠が一晩のうちで最も深い眠りとされています。
つまり眠り始めの最初の90分をいかに深く眠るかによって最高の睡眠が手に入るかどうかが決まるといわれています。

■眠り始めの90分で成長ホルモンが分泌される
病気を予防したり肌を若返らせたりするなど、健康と美容の助けとなる成長ホルモンは、眠り始めの90分で70〜80%が分泌されます。
成長ホルモンは眠り始めの90分を逃すと、その後には十分に分泌されなくなってしまいます。
つまり最初の90分を深く眠ることができないと、いくら寝ても疲れが取れないという状態になってしまいます。

寝る直前にスマートフォンを見るなどして光の刺激で脳が興奮したり、暑さや寒さが気になって寝付けなかったりすると、最初の90分をしっかり眠れなくなってしまいます。
逆に最初の90分をしっかり眠ると、睡眠時間に関係なく質の良い睡眠をとることが可能になります。

最初の90分がしっかり眠れなかった8時間睡眠と、最初の90分をしっかり眠った6時間睡眠を比べた場合、最初の90分をしっかり眠った6時間睡眠の方が脳や体にとって良い睡眠といえます。

■最高の睡眠をとるポイント
・太陽の光を浴びる
・朝に適度な運動
・入浴で深部体温を下げる
・夕食時に体を冷やす食べ物を摂る

●太陽の光を浴びる
最高の睡眠を得るには、その日の朝にしっかり目を覚ますことが重要になります。
朝に太陽の光を浴びることで体内時計をリセットします。
太陽にあたるのは1分程度でよいそうです。

●朝に適度な運動
汗だくになるような運動しないことが大切で、覚醒を通り越して疲労につながってしまいます。

●睡眠2時間前の入浴で深部体温を下げる
入浴すると2℃ほど深部体温が上がります。
それが90分ほどで元に戻り、そこから反動でさらに下がっていきます。
このタイミングで布団に入っていたら眠りやすい環境になります。
最高の睡眠のためには、お風呂から出て90分後に就寝することになります。

人間の体温には、体の表面の皮膚温度と体内の深部体温の2種類あります。
この2つの差が縮まるほど眠気が強くなるとされています。
一般的に深部体温の方が2℃ほど高いため、深部体温を下げてやればより眠りに入りやすいといわれています。

●夕食時に体を冷やす食べ物を摂る
夕食時に体を冷やすトマトやキュウリを食べると深部体温を下げる助けになります。
他にもパイナップル、スイカなども体を冷やす効果が期待できます。