大動脈瘤!中心血圧、動脈硬化、マクロファージの働き

大動脈瘤!中心血圧、動脈硬化!悪い食生活からマクロファージの働きにより大動脈の弾性繊維を壊してしまい、瘤(こぶ)が出来しだいに大きくなり、ある日血圧に耐えられなくなり大動脈瘤が破裂してしまいます。

■大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)
大動脈は直径2〜3cmで、人体で最も太い血管です。
一度大動脈に瘤が出来てしまうと膨らみ続けていき、放置しておくと治ることはありません。
ただ破裂に向かってまっしぐらに進行していきます。
大動脈が破裂するにはいくつかのパターンがあって、いきなり血管が裂けるケースもありますが、一番多いのは大動脈に瘤(こぶ)が出来、それが大きくなって破裂するというパターンです。
瘤は大きいもので直径8cmで野球のボールぐらいの大きさまでなるそうです。

■大動脈瘤の特徴
・自覚症状がない
・健康診断や人間ドックでも見つかりにくい
・毎年3〜4mmずつ巨大化
・腹部は5cm以上で破裂の危険が高まります

人間ドックを受けていても目的が悪性腫瘍(ガンなど)発見としていた場合、血管の方に焦点を当てた検診が行われていないため、見過ごされているというのが現状です。

■大動脈の弾性繊維(だんせいせんい)
心臓から大量の血液が流れ込む大動脈。
大動脈は他の血管とずいぶん違う構造をしています。
普通の血管に比べ大動脈は繊維状のものが大量に含まれていて、ガーゼの包帯のような網目構造になっています。
これが弾性繊維(だんせいせんい)と呼ばれるもので、とても弾力性を持っています。
このおかげで大動脈はすべての血管の中でも最も伸び縮みする特別の血管になっています。

■心臓と大動脈
心臓が血液を送り出すのは、心臓が収縮した時です。
収縮をした瞬間に血液が送り出されるのですが、その後心臓は止間します。
止間している時は血液は出ません。
血液が滞りなく流れているのは、大動脈の伸び縮みが心臓の収縮・止間と一体となっている連動して血液が途中止まったりしないようにスムーズに流れるようにしてくれています。
心臓と大動脈が交互に血液を押し出すことで血液がスムーズに流れています。
大動脈は第二の心臓とも言われています。

■動脈硬化
動脈硬化とは血管の壁が除々に分厚くなり、血液の通り道が狭くなり詰まりやすくなってしまう状態のことです。

■マクロファージと動脈硬化
動脈硬化にはマクロファージが深く関わっています。
まず血液の中に悪玉コレステロールが増えると、マクロファージが登場して血管の壁に入っていきます。
マクロファージは身体にとって悪い細菌やウイルスをやっつけたりする白血球の仲間です。
マクロファージは悪玉コレステロールを追いかけて血管壁の中に入り食べてくれます。
しかし食べ過ぎたマクロファージは血管に戻れなくなってしまいます。
やがてマクロファージが壁の中に溜まって血管を詰まらせます。
これが普通の血管で起きる動脈硬化です。

■大動脈瘤破裂
大動脈の壁は常に縮んでは伸びの伸縮を繰り返しています。
そのため大動脈壁にマクロファージが入ると、混乱引き起こし周囲を攻撃してしまいます。
すると炎症が起きてしまい血液中の酸素がうまく入ってこなくなってしまいます。
マクロファージは苦しくなってしまい、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)という酵素を分泌します。
すると大動脈の弾性繊維を壊してしまいます。
大動脈の血管の壁は薄くなってゴムのような弾力を失ってしまいます。
しかし血液は変わらず通っていくので血液によって圧迫されます。
弾力があれば押し戻してくれますが、弾性繊維が破壊されて戻すことができず瘤(こぶ)が出来てしまいます。
マクロファージがまたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を出し続けるため、どんどん弾性繊維が薄くなって瘤(こぶ)が大きくなり、ある日血圧に耐えられなくなり大動脈瘤が破裂してしまいます。

■中心血圧と大動脈瘤
健康診断の血圧は正常でも、中心血圧が高血圧になっていることがあります。
実はいま大動脈瘤を引き起こす新たな高血圧が注目を集めています。
それが中心血圧と呼ばれるものです。
通常の血圧は腕で測った血圧ですが、中心血圧とは心臓から出たばかりの大動脈での血圧です。
中心血圧が高いと大動脈瘤が出来やすくなってしまいます。
健康な人の場合は、心臓が血液を押し出す力がスムーズに末端まで届きます。
しかし動脈硬化を起こしている人の場合、同じように心臓が血液を押し出しますが、いかんせん通りにくいため押し戻す力が働いてしまいます。
血管は一方通行のはずなのに戻ってこようとします。
その戻ってくる力と流そうとする力がぶつかるのが大動脈です。
そのため大動脈瘤が出来やすくなってしまいます。
中心血圧の測定は一部の病院や人間ドックでも出来るようになってきています。
そもそも大動脈瘤は高血圧の人は要注意です。
さらに高血圧ではなくても、最高血圧-最低血圧=60以上あるような人は、中心血圧が高くなって大動脈瘤が出来やすくなっている可能性があります。

■大動脈瘤のリスク要因
●喫煙は大動脈瘤のリスク増
 動脈硬化と高血圧を悪化させ、血管をもろくしてしまいます。
●男性は大動脈瘤に要注意
 女性ホルモンには動脈硬化を防ぐ働きがあります。
 女性でも閉経後は大動脈瘤に要注意です。
■大動脈瘤の治療
腹部は5cm、胸部は6cmで手術適応になります。
・人工血管
・ステントグラフト
 ポリテトラフルオロエチレンという物質で出来ていて雨具などの材料に使われています。

胸部の大動脈瘤は、胸の検診で写真をとる機会が多いので割合と見つかりやすいですが、腹部の大動脈瘤はX線では見つけにくく、エコー検査が基本となります。
エコー検査のときについでに「大動脈瘤はどうですか?」と一言いっておくと大動脈瘤発見に効果的です。