耳かき・耳掃除のやり方、耳垢栓塞、耳管狭窄症、耳垢の働き

高齢者になればなるほど耳の機能が低下して聞こえずらくなることもありますが、実は耳が遠いと訴える患者さんの中で意外に多いのが耳垢の溜まり過ぎです。

■耳垢(みみあか)について
耳垢(みみあか)は、耳の中に菌が侵入するのを防ぐ働きがあります。
そのため量が少なければよいというわけではありません。
耳垢は耳の構造上から自然と外に出ていくように出来ています。
耳の掃除は、月1回程度でOKといわれています。
耳を掃除し過ぎると、かえって耳垢が奥に押されて耳垢が溜まってしまうことがあります。

■耳垢栓塞(じこうせんそく)について
耳垢栓塞(じこうせんそく)とは、耳垢が詰まって鼓膜を塞いでしまい、ひどい難聴の症状を起こすことをいいます。

■毎日耳かき・耳掃除をする人は耳垢が出来やすい
耳垢ができる場所は、耳の入り口から1.5cmまでの所になります。
この部分には耳垢腺(じこうせん)や皮脂腺があり、そこから分泌された汗や脂肪が剥がれた角質やゴミなどと混ざって耳垢ができます。
しかし耳掃除をやり過ぎてこの部分を刺激し過ぎると、新陳代謝が活発になり耳垢が出来やすくなってしまいます。

毎日耳掃除をしている人は、耳垢ができやすい状態になっています。
さらには耳垢を頻繁にすることで、入り口にある耳垢を奥に押し込んでしまいやすくなってしまいます。
これを放置して耳垢が完全に鼓膜を塞いでしまうと耳垢栓塞という症状となり、難聴の原因ともなってしまいます。
奥に入り込んでしまった耳垢は自分で取ることができないため、専用の吸引機を使って取り除くしか方法がありません。

■正しい耳かき・耳掃除のやり方
1ヶ月に1回、耳の入り口を細い綿棒で1回軽くなでる程度でOKです。
綿棒で何度も擦ると、皮膚を刺激して耳垢を増やす原因になります。
綿棒にベビーオイルを塗って耳かき・耳掃除を行うのもよいです。
耳かきをするときは座った状態で行います。
ひざ枕などで横になった状態で耳掃除を行うと、耳垢が奥に落ちやすくなるのでよくありません。

■耳かき・耳掃除のタイミング
お風呂上がりは耳垢がふやけて剥がれやすくなっているので、最も耳かき・耳掃除しやすいタイミングでもあります。
耳かき・耳掃除をするには、お風呂上がりがおすすめです。

■耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)について
飛行機やエレベータに乗った時に耳が詰まった感じになりますが、これは鼓膜の外側と内側で気圧が変わってしまうために起こります。
それを解消するのが耳管(じかん)です。
耳管(じかん)を開いたり閉じたりすることで鼓膜の中の気圧を一定にして平行を保つようにしています。
耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)とは、何らかの原因で耳管が開いたり閉じたりしなくなってしまう耳の病気をいいます。
耳管狭窄症の原因で一番多いのが、カゼをひいた後に副鼻腔炎や鼻炎になり耳管が腫れてしまうことです。

●耳管狭窄症の予防法
・ストレスを溜めない
  体力の低下が粘膜の炎症を引き起こします。
・鼻を片方ずつ優しくかむ
  強く鼻をかむと鼻水が内耳に入り込みやすくなってしまいます。

■耳の名医(2014年5月時点)
はくらく耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック 院長
生井 明浩(いくい あきひろ)先生

住所:横浜市神奈川区六角橋1-6-14 2F

耳鼻の症状から全身の病を見つけ出すエキスパートです。
5万人以上の患者を救ってきた耳鼻咽喉科の名医です。