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■ヒザ痛の原因はヒザ軟骨が擦り減って摩耗した微粒子
ヒザ関節は、骨と骨の間にある軟骨と周囲を覆う関節包を満たす関節液によって摩擦を減らし滑らかに動いています。
正常なヒザ軟骨の厚さは5mm以上になります。 ヒザが痛くなる原因の大半は、ヒザ軟骨が擦り減って摩耗した微粒子が関節の中に散らばって炎症が起こることによるものです。



■NF-kappaBとヒザ痛
細胞内にはNF-kappaB(エヌエフカッパビー)と呼ばれる免疫機能を司るタンパク質が存在しています。
NF-kappaBは外敵の侵入に反応して攻撃を伝える役割をしています。
ヒザ軟骨が擦り減ると、摩耗粉と呼ばれる細かな破片が関節包の中に散らばることがあります。
この破片が関節包の内膜に触れると、細胞内のNF-kappaBが破片を外敵と見なして攻撃を開始します。
これが炎症反応となって激痛を引き起こします。
こうした細胞内の免疫異常がヒザ痛の原因の99%を占めていると考えられています。

■穏やかな運動でヒザ痛改善
炎症が起こっているヒザに穏やかな運動を加えると、炎症を引き起こすNF-kappaBの活動を抑えられます。
それによって炎症が治まります。
運動によって細胞の免疫異常を正常化して痛みを取り払う治療法です。
激し過ぎる運動では返って炎症がひどくなり、逆に安静にし過ぎるとヒザが弱くなって炎症を継続させてしまいます。
その中間の調度良い穏やかな運動が一番炎症を抑えて痛みを和らげてくれます。
また筋肉や関節も強くすることができます。

■ヒザ痛予防改善運動
以下の3つの運動を左右20回を1セットとし、朝と晩に行うとヒザ痛が大きく改善します。

●足上げ運動でヒザ痛予防改善
仰向けに寝そべって片足を伸ばします。
そのまま真上に10cm程度足を上げます。
上げたところで5秒間キープしてから下ろします。
この運動で炎症による痛みを抑えると同時に、ヒザを支える大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えることで痛みの出にくいヒザになります。

●足横上げ運動でヒザ痛予防改善
横になって真横を向いた状態で上側の足を10cm程度上げます。
上げたところで5秒間キープしてから下ろします。
この運動で大腿四頭筋に加えてももの外側の筋肉を鍛えることができます。

●ボールを使った運動でヒザ痛予防改善
足を投げ出し、ももの間に大きめのゴムボールを挟みます。
ボールを潰すように力を入れ、5秒後に力を抜きます。
これを繰り返すことでモモの内側の筋肉を鍛えることができます。

●靴下を使ってヒザ痛予防改善
靴下を履き、床を20cmほど前後にスリスリゆっくり動かします。
1日5分を2〜3回行います。

■ヒザ痛治療の名医(2015年1月時点)
順天堂東京江東高齢者医療センター 副院長
順天堂大学 整形外科
黒澤 尚(くろさわ ひさし)先生



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