線維筋痛症の特徴・診断・治療のポイント、薬物療法と非薬物療法で全身の激しい痛みを改善

■線維筋痛症(せんいきんつうしょう)について
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は原因はよく分かっていませんが、全身に激しい痛みが起きる病気をいいます。
患者によっては筋肉が引き裂かれるような痛み、体の中で爆発が起きているような痛み、ガラスの破片が刺さり続けているような痛みを感じると表現する人もいます。
その痛みが慢性化して20年以上続く場合もあります。
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)患者は推定で200万人もいるといわれています。

■線維筋痛症の特徴
線維筋痛症は足をつったような痛みが全身に起き、その痛みが3ヶ月以上続くのが特徴となっています。
長い人では1年・5年・10年と続く人がいます。
また1ヵ所から全身に痛みが広がっていくということが起こっていきます。
線維筋痛症という病気はなかなか人に理解されないということから診断と治療に結びついていかないことが多いです。

■線維筋痛症になりやすい人
線維筋痛症は約80〜90%は女性に発症し、発症年齢は30〜60代の中高年となっています。

■線維筋痛症の要因
多くの場合肉体的ストレスと心理的ストレスの両方関わって発症していると考えられています。

●肉体的ストレス
・過労
・けが
・病気
・事故
・手術
・妊娠や出産

様々な肉体的ストレスが発症の要因となっています。

●心理的ストレス
・人間関係
・仕事
・介護
・離婚

心理的なストレスも大きな発症の要因となっています。
痛みは中枢神経を介して脳で感じています。
脳で感じる痛みは、健康な人であればセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンといった神経伝達物質によって痛みを緩和するシステムが働いています。
しかし線維筋痛症の人は、心身のストレスによって痛みのコントロールするシステムが異常を来たしているので、些細な痛みでも激しく痛むようになってしまいます。

■線維筋痛症の診断
・飛び上がるほど痛い
・しばらく痛みが取れない

全身の圧痛点(あっつうてん)を押して11ヵ所以上痛みがある人は、線維筋痛症の疑いがあるとされています。
線維筋痛症の人は圧痛点(あっつうてん)を押されると、飛び上がるほどの痛みを感じます。
また痛み以外にも・疲労感・起床時の不快感・精神症状・身体症状も点数化して診断します。

■線維筋痛症の治療法
線維筋痛症の治療法は薬物療法と非薬物療法に分けられます。

●薬物療法
・神経性疼痛緩和薬(プレガバリン)
・抗うつ薬(デュロキセチン)
・抗けいれん薬
・特別な鎮痛薬
・漢方薬

約60%ぐらいは薬物療法により症状が改善します。

●筋肉に負担をかけない
30分体を動かしたら10分休むようにします。

●軽めの運動
散歩やラジオ体操のような軽めの運動を日常生活に取り込んでいきます。

●生活改善
家事や様々な活動の中でリラックスしながら、休み休み生活をしていきます。

●心理療法
不安や気持ちの落ち込みなどの感情をいかにコントロールしていくかが重要になってきます。

●病気をしっかり理解する
線維筋痛症は命に関わる病気ではなく、関節や筋肉の破壊を引き起こすという病気ではないということを理解するだけでも気持ちが楽になります。
病気の状態を正しく理解することで前向きに取り組むことができます。

●周囲の理解・協力
周囲の人もこの病気を理解して日常生活の中で様々な支援をしていくことも大切になります。

■線維筋痛症の治療の名医(0217年1月時点)
国際医療福祉大学 心療内科 教授
村上 正人(むらかみ まさと)先生
線維筋痛症の治療や診療ガイドラインの作成にも携わっているエキスパートです。