ヒザの痛みの原因・対策、変形性ひざ関節症、腸脛靭帯炎、関節リウマチ、痛風・偽痛風

ヒザの痛みの原因は様々あり、腸脛靭帯炎、変形性ひざ関節症、関節リウマチ、痛風・偽痛風などがあります。
中高年のヒザの痛みは変形性ひざ関節症が多いですが、それ以外にも様々なヒザの痛みの原因があるので整形外科を受診して正しい診断と適切な治療を受けることが大切になります。
ヒザが熱を持って痛む場合は冷やし、炎症が治まったらストレッチなどで柔軟性を高めましょう。

■ヒザの痛み対策
ヒザの痛みは原因によって対処法が変わってきます。
まずは判別のために整形外科を受診して自分のヒザの痛みの原因を調べてもらうことが大切になります。
ヒザの痛みの原因としては、腸脛靭帯炎、変形性ひざ関節症、関節リウマチ、痛風・偽痛風などがあります。

■腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)によるヒザの痛み
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)とは、腸脛靭帯の炎症によるヒザの痛みをいいます。
腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)は骨盤とヒザ下の骨をつなぐ長い靭帯で、ヒザの外側を安定させる働きをしています。
腸脛靭帯はヒザを曲げ伸ばしするとヒザの外側にある骨の出っ張りの上を通過します。
そのためガニ股で走るなど足の外側に体重をかけるクセがあると何度も強く擦れて炎症が起こる場合があります。
ランニングする人に多くみられることからランナーひざとも呼ばれています。

ヒザが熱を持ってズキズキと痛む急性の炎症が起こっている場合は氷などで冷やした方が良いです。
炎症が治まったらストレッチを十分行うなどして靭帯の柔軟性を高めることが大切になります。

■変形性ひざ関節症によるヒザの痛み
変形性ひざ関節症とは、年齢と共にヒザの軟骨が磨り減って起こるヒザの痛みなどをいいます。
動かし始めにヒザが痛む場合やヒザが痛くて正座がつらくなったという状態が慢性的に続いている場合は変形性ひざ関節症の疑いがあります。
50歳以上の2人に1人が変形性ひざ関節症で悩んでいるといわれています。

●初期の変形性ひざ関節症
私たちのヒザは太ももの骨の大腿骨(だいたいこつ)とすねの骨の脛骨(けいこつ)、ヒザのお皿の膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨で出来ています。
大腿骨と脛骨の間には十分な厚みの軟骨と半月板(はんげつばん)があり、クッションとなってヒザの衝撃を吸収しています。
体重やヒザの曲げ伸ばしなどによって負担がかかり続けると次第に軟骨や半月板が磨り減っていきます。
すると磨り減った軟骨や半月板の欠片が散らばって関節を包む滑膜(かつまく)を刺激し炎症が起こります。

●中等度の変形性ひざ関節症
さらに磨り減りが強くなると関節が変形していき、骨と骨の間がさらに狭くなり痛みや動かしにくさも強くなります。

●重度の変形性ひざ関節症
さらに進行して重度になると軟骨が完全に無くなり骨と骨が直接ぶつかって強い痛みが生じるようになります。
また骨が棘(とげ)のように変形した骨棘(こつきょく)が出来ることもあります。

変形性ひざ関節症は慢性の痛みなので、お風呂に入るなどして硬くなった筋肉やこわばった関節を温めることで痛みが和らぎます。

■変形性ひざ関節症の危険因子
・加齢
・肥満
・運動不足
・ヒザを酷使する職業
・ヒザのケガ

●加齢
長年ヒザを使い続けると軟骨や半月板が年齢と共に少しづつ磨り減っていきます。

●肥満
体重が増えれば増えるほどヒザへの負担が増加ししてしまいます。
体脂肪が高い人ほど変形性ひざ関節症になりやすいといわれています。
太ってくるとヒザのお皿の下にも脂肪が増えてき、この脂肪細胞からアディポカインという物質が出て軟骨や関節に炎症を起こし変形性ひざ関節症になりやすくなります。

●運動不足
ヒザの太ももの前には大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉があり、裏にはハムストリングという筋肉があり、ヒザにかかる衝撃を和らげる働きがあります。
運動不足になって支える筋肉が弱くなるとヒザにかかる負担が増えてしまい変形性ひざ関節症になってしまいます。

●ヒザを酷使する職業
ヒザの曲げ伸ばし・重い物を持つなどしてヒザに負担がかかることが多い職業。
農業、運送業、建設業など。

●ヒザのケガ
スポーツ活動中に半月板や靭帯を痛めたり、また適切に治療を行わなかった場合に変形性ひざ関節症になるリスクが高くなります。
スポーツでヒザを痛めた場合は、将来に変形性ひざ関節症にならないためにも適切に治療を行うことが大切になります。

スポーツによるケガや障害の場合は、いったん運動を中止して整形外科を受診しましょう。
熱を持って腫れている場合は冷やしましょう。
ケガの状態によっては薬や手術で治療を行い、その後リハビリを行いましょう。

■関節リウマチによるヒザの痛み
関節リウマチは免疫の異常によって全身の関節に炎症が起こる病気をいいます。
関節リウマチはヒザ以外に手首や手足の指などの小さい関節にも症状が出やすいです。
関節リウマチは朝のこわばりが特徴的です。
痛む関節を触るとやわらかく熱を持っています。

関節リウマチを専門としているリウマチ科・内科・整形外科を受診しましょう。
薬での治療が中心になります。
症状や患者の希望によって手術も検討されます。

■痛風・偽痛風(ぎつうふう)によるヒザの痛み
痛風とは、関節の中に尿酸やカルシウムの結晶が溜まることで起こる病気をいいます。
最初は足の親指の付け根などに痛風発作と呼ばれる激痛が起こります。
偽痛風(ぎつうふう)はピロリン酸カルシウムの結晶が溜まることが原因で起こります。
ヒザに水が溜まって痛んだり、発熱などの全身症状を伴ったりします。

内科・整形外科を受診しましょう。
薬で治療を行います。
痛風の場合は食事や運動など生活習慣の改善も必要になります。