腸腰筋の衰えが腰痛等の体の不調の原因、クロスシンドローム、腸腰筋ストレッチ、変形性股関節症

腸腰筋は歩く・座るなどの足を前後する動きや、上半身のバランスを保つ働きをになっています。
腸腰筋が身体の不調と密接に関係しています。
クロスシンドロームが原因で腰痛などの不調の原因が一見全く関係なさそうな場所にあると考えられています。
簡単な腸腰筋ストレッチで身体の不調を改善することが可能です。

■腸腰筋(ちょうようきん)について
腸腰筋(ちょうようきん)は大腸にある腰のあたりと背骨の間にあります。
身体の中心に位置し、上半身と下半身をつなぐ大切な筋肉です。
腸腰筋の主な働きは、歩くことなど足を前後する動きになります。
腸腰筋がしっかりと働いてくれることで歩くことができます。
また正しい姿勢で座ることなども腸腰筋が正常に働いているおかげになります。
腸腰筋は上半身のバランスを保つのに重要な筋肉になります。

■腸腰筋の衰えチェック
立ったまま靴下を履きます。

靴下を履こうと太ももを上げた時、腸腰筋が正常だとしっかりと上半身のバランスをとることができます。
しかし腸腰筋が衰えていると上半身を上手く支えられずバランスを崩してしまいます。

■クロスシンドロームが不調の原因
クロスシンドロームとは、本来とれているはずの正常な筋肉のバランスが崩れてしまった状態をいいます。
私たちの身体は筋肉どうしが密接につながっていて、腸腰筋など一つの筋肉が衰えると反対側の筋肉にも衰えが生じます。
するとさらに隣り合う筋肉にも連鎖的に影響を及ぼし、やがては全身の筋肉が衰えてしまいます。
その影響し合う筋肉を線で結ぶとクロスを描くためクロスシンドロームと呼ばれています。

中でも身体の中心に位置する腸腰筋の影響は大きく、腸腰筋が衰えると腰の筋肉も衰えて腰痛になる危険性が高まります。
腸腰筋が衰えると肩の筋肉も衰えて腰痛や肩こりの原因になることもあります。
また筋肉の影響が全身の及ぶことで頭痛や関節痛といった不調にもつながってしまいます。

■腸腰筋を衰えさせる行動
・足を組む
・前傾姿勢
・すり足
・浅く座る

●足を組む
足を組むとお腹と太ももの距離が近づきます。
すると腸腰筋が圧迫されて血流が悪くなり機能が低下してしまいます。
そのため腸腰筋が凝り固まりやすくなってしまい衰えにつながってしまいます。

●前傾姿勢
スマホなどを見る場合は前傾姿勢になってしまうため、足を組むのと同様にお腹と太ももの距離が近づき腸腰筋が衰えてしまいます。
特に仕事などで長時間座っている人などは時間と共に前傾姿勢になりがちです。

●すり足
すり足は正しい歩き方と違い腸腰筋そのものが使えていない歩き方になります。

●イスやソファーに浅く座る
この姿勢だと上半身を背もたれに預けることになり、腸腰筋を使わない座り方になってしまい腸腰筋の衰えにつながってしまいます。

■腸腰筋が衰えやすい人
・メタボリックシンドローム
・猫背

●メタボリックシンドローム
お腹の重さで重心が前になり、それを戻そうとして骨盤が前傾し、腸腰筋が圧迫されて衰えてしまいます。

●猫背
猫背に人は背中が丸まった楽な姿勢ですが、これは浅く座るのと同様に腸腰筋があまり使われていないため衰えにつながってしまいます。

■腸腰筋ストレッチで身体の不調を改善
イスに横に座った状態で片足を後ろに持っていきます。
このとき後ろ足はできるだけひざを伸ばすのがポイントです。
おへそを突き出すように体重を前に乗せます。
この姿勢を10秒間キープします。
片足10秒ずつで、朝昼晩3セット行います。

前傾姿勢とは逆に身体を反らす動きなので腸腰筋が効率良くストレッチされます。
これにより腸腰筋本来の機能を取り戻し、肩こりや腰痛といった身体の不調の予防・改善が期待できます。

■変形性股関節症と腸腰筋の衰え
骨盤と大腿骨の間に軟骨がありますが、その軟骨がすり減ってくると骨同士で擦れ合う状態になります。
すると炎症が起こって痛みにつながってきます。
軟骨が擦り減ってくるということは股関節のはまりが浅いということが考えられます。
骨盤と大腿骨ハマりが浅いと腸腰筋がそられを上手くはめようと働き続けます。
すると腸腰筋が酷使されて疲れてしまい衰えてしまいます。
40・50代で自覚症状が現れやすいといわれる変形性股関節症の患者数は約500万人いるといわれています。
日本人は遺伝的要因で変形性股関節症になる人が多いといわれています。

■変形性股関節症チェック
・足の爪切りがしづらくなった
・長時間歩いた後に股関節がだるくなったり痛みが出る
・座った時に片方のひざが前に出ている

当てはまる数が多いほど変形性股関節症の可能性が高くなります。

■ボールを使って変形性股関節症の予防
座っているときにボールを床に置いて前後左右にコロコロと転がします。
股関節の中にある関節液という潤滑油が分泌されます。
股関節を動かした時に痛みが出るので、前もって関節液を出すことが大切になります。
長期間行うことが大切で、軽い痛みであればあきらめずに行うと良いです。