転倒予防!筋力低下防止・大腿骨頚部骨折・ロコモティブシンドローム

転倒予防!筋力低下防止・大腿骨頚部骨折・ロコモティブシンドローム。ヒザ下の筋肉の衰えが転倒・骨折につながりがち。予防のためには自分の筋力を把握し、自分の筋力にあった運動を続けることが大切

■大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)とは、足の付け根の骨が折れてしまう病です。
この大腿骨頚部骨折は2007年で14万8100件あり、わずか5年間で約1.3倍にも増えているそうです。
特に女性は男性の3.7倍にもなります。
大腿骨頚部骨折を起こした患者さんのうち、20%がそのまま寝たきりになると言われています。

■脳のイメージと筋力の差
そもそも人間は、目で障害を認識すると脳の運動野がその障害物を乗り越えようと筋肉に指令を出します。
しかし筋肉が弱っていると、脳が大きく踏み出すという指令を出しても筋肉がその通りに動かないため足が上がらず、障害物につっかかり転倒してしまいます。
こうした脳と筋力のギャップは、年を取れば多かれ少なかれ誰にでも存在します。
しかし、自分はまだまだ元気だと思い込んでいる人ほどそのギャップが大きく、転倒したときの危険性が高くなります。
東京都老人総合研究所によれば、65歳以上の高齢者が健康的な生活をするため必要な歩数は1日8,000歩とされています。
家庭の主婦が掃除や洗濯などで動き回っても約4,000歩程度にしかならないそうです。
車中心の生活で歩数が減ると筋力の低下を招くことにつながり、さらにそこに加齢による下半身の筋力の衰えが加わり、歩いたりするときに重要なな役割を果す大腿四頭筋(だいたいしとうきん)・殿筋(でんきん)など様々な筋肉の力が大きく低下。
その結果、知らず知らずのうちに疲れやすい身体になってしまいます。
筋力の低下は早い人で40代から始まると言われています。

■ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドロームとは、筋力や骨・関節等が原因で寝たきりになりやすい状態のことを言います。
その予防のためには自分の筋力を把握し、自分の筋力にあった運動を続けることが大切とされています。
介護を必要とする人や寝たきりになる人が急速に増加しています。
その原因としては脳卒中・認知症がありますが25%は骨折が原因で、4人に1人は転倒による骨折や関節炎等が原因となっています。
ロコモティブシンドロームとその予備軍は全国で約4700万人と推定されています。

■ヒザ下の筋肉の衰えが転倒につながる
ヒザから下の筋肉は足首やつま先を動かす大切な筋肉です。
これらの筋肉が衰えていくとつま先が上がりずらくなり、わずかな段差でつまづいて転倒しやすくなります。
ヒザから下の筋肉は、歩いたり立ったりといった日常的な動作が少ないと衰えやすい筋肉です。

■転倒予防スクワット
足を肩幅より広く開き胸を張ります
そのままイス(便座等)に完全に座らずにお尻を浮かすようにしゃがみます
かかとに体重を乗せるようにしてゆっくり立ち上がります
5〜10回を1セット
1日3セット行います

普通にしゃがむとヒザはつま先より前に出ます。
しかしこれだと体重がヒザにかかりヒザを痛めてしまいます。
ところがお尻を後ろに突き出すようにしゃがむとヒザに負担がかからず、太ももやお尻の筋肉をしっかり鍛えることができます。
洋式トイレに座ると自然とこの体勢になります。
高齢者の方は転倒防止のため机に手をつきながら行うと良いです。