糖尿病・閉塞性動脈硬化症・薬による足のつりの予防法・対処法、こむら返り

足のつりはこむら返りともいい、運動神経の興奮による誤作動のため起こる。冷えや脱水で神経に電解質が運ばれにくくなり誤作動が生じて足のつりが起こる。
糖尿病は神経と血管がダメージを受け筋肉が脱水のような状態になってしまい足のつりが起こる。
閉塞性動脈硬化症は血流が悪くなって神経の働きが低下し誤作動により足のつりが起こる。

■足のつりについて
足がつることをこむら返りといいますが、足のつりは成人の約3割が月に1回以上経験しているといわれています。
足のつりは、運動神経が勝手に電気の活動を起こしてしまっている状態になります。
筋肉を収縮させなくていいような所で勝手に筋肉を収縮させる命令が出ている状態になります。
通常筋肉は神経の命令によって動き、筋肉は動いていることを神経に知らせます。
そのやり取りが過度に続くと、神経が興奮して勝手に間違った指令を出し続け、筋肉は異常に縮んでしまいます。
これが足のつりです。
つまり足がつるということは、神経が誤作動を起こしたというサインになります。

■足のつりが運動神経の興奮による誤作動のため起こる
走ったりして足のつりが起こるのも、運動神経が興奮して誤作動を起こして筋収縮が起こるためです。
その他にも、ハイヒールを履いている時に足のつりが起こるのも、筋肉を固定してずっと神経を興奮させているために起こります。
寝ている時に足のつりが起こるのも、布団などの重みで足の甲が押され、つま先立ちと同じ事が起こっているためです。

■冷えと脱水による足のつり
冷えと脱水が足のつりに関係しています。
神経は電解質で情報のやりとりをしています。
汗や飲酒で脱水すると体の電解質、つまりミネラルが不足します。
また冷えで血流が悪くなると、神経に電解質が運ばれにくくなるため神経に誤作動が生じ、筋肉が異常に縮んでしまいます。
これが足のつりが起こる原因です。
ただしこれらは健康な人でも起こる足のつりです。

■糖尿病による足のつり
糖尿病になると筋肉につながる神経と血管に異常が起こり足のつりが起こります。
血糖の平均をはんえいするヘモグロビンA1cは、6.5%以上だと糖尿病と診断されます。
糖尿病になると神経と血管がダメージを受け、筋肉にいく神経がボロボロになってしまいます。
すると刺激が入りやすくなってしまいピリピリ感じてしまいます。
血管がやられてしまうと筋肉にいく血液の流れが悪くなってしまい、筋肉が脱水のような状態になってしまい足のつりが起こってしまいます。
さらにはしびれを伴う場合があります。

糖尿病は多飲多尿(たいんたにょう)といって飲む物が多く、また尿が多いという状況になります。
血糖値が上がってしまい、それを本能的に薄めようとして多くの水分を摂ってしまいます。
足のつりと多飲多尿の症状が起こった時は、糖尿病による足のつりの可能性があります。

■閉塞性動脈硬化症による足のつり
足や手にいく血管が詰まってしまう病気の一つに閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)があります。
詰まってそこから先に血液がいかないため、本当に重症だと足を切断しなければいけないこともあります。
足の血管が動脈硬化を起こし血流が悪くなると、神経の働きも低下してしまいます。
そのため神経の誤作動が起こりやすくなり、足のつりが起こりやすくなります。
閉塞性動脈硬化症は歩いていくと痛くなって、休むと楽になることが多いです。
血管に問題があれば同じ程の距離で痛みが起こり、神経に問題があれば天候などの条件で痛む距離が変わってきます。
足のつりやしびれと、歩くと決まった距離で足が痛む時は、閉塞性動脈硬化症で足のつりが起こっている可能性があります。

■薬による足のつり
薬の中には、足のつりを起こしやすくするものがあります。
血圧の薬やコレステロールの薬は、足のつりを起こしやすくすることがあります。
薬を始めて足のつりが起こりやすくなった場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

■足のつりが起こった時の対処法
ポイントはつっている筋肉を伸ばすことです。
神経の誤作動を鎮めてくれます。
ふくらはぎの場合でパートナーがいる際は、つま先を押してもらいましょう。
一人だけの時に足のつりが起こった時は、壁に手を付き、つった方の足を引き伸ばします。
アキレス腱を伸ばす要領で行います。

■足のつりの予防法
マグネシウムやカルシウムなどの電解質のバランスが崩れると足のつりが起こりやすくなります。
そのため小魚・野菜・果物などをしっかりバランス良く摂ることが足のつりの予防につながります。
また水分を控えずにしっかり摂ることも足のつりの予防に大切です。

■足のつりの名医(2013年11月時点)
順天堂大学医学部総合診療科 先任准教授
博士(医学) 内藤俊夫(ないとうとしお)先生