脱腸・鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)、原因・チェック・治療法について

脱腸は鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)といい、小腸が腹壁の外に飛び出している状態をいいます。
喫煙者や前立腺癌の手術者に脱腸・鼠径ヘルニアが多いです。
脱腸・鼠径ヘルニアは、じわじわ伸ばされてゆくので痛みが出ない人が多くなっています。異常を感じたら消化器の専門医を受診しましょう。

■脱腸とは
私達のお腹の中には消化器がありますが、消化器は腹壁(ふくへき)という筋肉の壁に包まれています。
脱腸とは、本来腹壁の中に収まっているはずの小腸が外に飛び出している状態をいいます。
これまで脱腸はお腹の力みと関係があるといわれていましたが、脱腸と力みは関係なく腹圧だけでは脱腸にはなりません。

■鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)
赤ちゃんにも腹壁(ふくへき)があります。
赤ちゃんは受精卵の段階では男女の差はなく、性器に相当するものがありません。
最初は未分化性腺(みぶんかせいせん)というものですが、背中のあたりに出来ます。
これが妊娠2ヶ月くらいまでに卵巣になったり、精巣になったりします。
卵巣になると女の子になり、精巣になると男の子になります。
妊娠5ヶ月くらいになると精巣が動きだし、腹壁の方が自動的に開いて精巣が本来あるべき場所に辿り着きます。
これが妊娠8ヶ月くらいまでに起こります。
このとき開いた腹壁の穴は、精巣等に栄養分を送り届ける血管が通ったりするためにずっと開いたままになります。
実は女の子も腹壁に穴が開いています。 女の子の場合は、未分化性腺(みぶんかせいせん)が卵巣になって同じように背中から下がってきますが、最終的には腹壁の中に位置します。
しかし卵巣を引っ張る靭帯、その後の子宮と卵巣を支えるものが穴のところを通るため開いています。
この穴が開いている場所を鼠径部(そけいぶ)といいます。
脱腸の本当の病名を鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)といいます。
ヘルニアという言葉は「脱」という意味で、本来あるべき場所から外れるということを意味しています。
鼠径部(そけいぶ)とは、ビキニラインあたりの所になります。

■脱腸・鼠径ヘルニアを起こさない防御機構
渡したいの体の腹壁には、脱腸・鼠径ヘルニアを起こさないための防御機構があります。
そのため腹壁に穴が開いても脱腸・鼠径ヘルニアを起こさないようになっています。
しかしその防御機構が何らかの原因でどんどん弱くなってしまうと腸が出てしまいます。

■脱腸・鼠径ヘルニアを引き起こす原因
・喫煙者
・前立腺癌の手術を受けたことがある

詳しくは分かっていませんが、男性では喫煙者や前立腺癌の手術を受けたことがある人が脱腸・鼠径ヘルニアになりやすいといわれています。
前立腺癌の手術を受けると鼠径部と近いため、物理的にそこを手術で傷めてしまうため脱腸・鼠径ヘルニアを引き起こしやすいといわれています。
脱腸・鼠径ヘルニアの男女比率では4:1となっています。

■脱腸・鼠径ヘルニアのチェック法
太ももの付け根の境目の所に手を添えて手の平をそっと当てます。
そこで咳をしたりして力んでみます。
体の中から手を押す物があるかどうかをチェックします。
女性の場合は、脚の付け根から出る大腿ヘルニアがあるので太ももチェックも行いましょう。

■脱腸・鼠径ヘルニアの注意すべき症状
飛び出した部分が急に戻らなくなったり、硬くなったり、痛みが出た場合は直ぐに病院を受診しましょう。

■脱腸・鼠径ヘルニアの治療法
脱腸・鼠径ヘルニアは手術以外では完治しません。
脱腸・鼠径ヘルニアが出来る所は組織が傷んでどんどん悪くなっているので、人工で作った膜のパッチを当てます。
通常は前方の鼠径部(そけいぶ)を麻酔をして切開して手術を行います。
最近では腹腔鏡での手術も可能となっています。
健康6