結核(けっかく)について・耐性菌!

結核(けっかく)について・耐性菌!全国に結核(けっかく)の感染者が2800万人。結核は感染していても発症しなければ他の人にはうつりません。若者の結核発症は、いろんな人が集まる場所でたまたま結核保菌者からの空気感染

2005年の発表では全国に結核(けっかく)の感染者が2800万人いるとされています。
肺炎などの場合、健康な人の口の中に原因となる菌がいます。
ところが結核菌は人の口の中にはすんでいません。
結核患者のセキなどから空気感染します。
結核は感染していても発症しなければ他の人にはうつりません。
最近、若者の結核発症が起こっているのは、いろんな人が集まる場所で、たまたま結核保菌者から空気感染することにより起こっています。

■肺炎と結核について
肺炎球菌は元々私達の口の中にいることが多く、主に唾液と一緒に咽に入ってきます。
通常は気道には入ってきませんが、誤えんにより唾と一緒に気道に入ってしまうことがあります。
このとき肺の方に入ってしまうと肺胞が炎症を起こして腫れてしまい肺炎になってしまいます。
菌がなくなれば肺は元通りに治ります。
結核の場合は結核菌が肺の組織を破壊するため出血が起こります。
そして血が気道を上がっていき喀血(かっけつ)となります。
普通の肺炎を起こすような菌は、一度治ってしまえば体内にはいなくなりま。
しかし結核菌には寿命が無く、何十年後にはまた時限爆弾のように再発する可能性があります。
結核は感染しても発症しない人が9割。
1割の発症者の中でも1/3はかかるとすぐに発症し、2/3はいったん結核菌が眠ってその後発症します。

■肺の細菌を退治する働きについて
肺に細菌が入り炎症を起こすと肺炎になります。
その引き金となる細菌は、実は多くの人の口の中にいます。
細菌が肺に進入するのを防いでいるのが咽の奥にある咽のフタです。
その機能が衰えると、水や食べ物と一緒に細菌が気管に入り炎症を起こしてしまうことがあります。
細菌が咽のフタを通過してしまうと、細菌は呼吸と共に気管に入り込んでいきます。
ここで細菌を待ち構えているのが気管の表面にある小さな毛の粘液線毛(ねんえきせんもう)です。
1秒に15回もの高速で動き粘液を上へと運んでいきます。
粘液で細菌を捕らえ進入を防いでくれます。
気管はさらに細かく枝分かれしていますが、ここまで細菌が進入すると咳きにより外に排出しようとします。
気管の一番奥にあるのが肺胞です。
ここで増殖しようとする細菌を退治してくれるのが免疫細胞のマクロファージです。
進入した細菌を次々に捕らえて消化酵素で退治してくれます。
ところが結核菌はマクロファージに捕らえられると活動を休止します。
するとマクロファージの消化酵素が効かなくなってしまいます。
マクロファージは結核菌を取り込むと逃がさないように固い膜を作って外に出さないようにします。
しかし、逆にこの膜があることにより他の免疫細胞から結核菌を守ることになり、結核菌の隠れ蓑になってしまいます。

■結核に感染している人
戦中戦後の結核の大流行期に結核菌が肺に入って活動を休止していることが多く、いまの60代ではおよそ3割、70代では5割の人が感染しているとされています。

■結核が発症する場合
マクロファージは時々膜が壊れるため、結核菌が外に出てきてしまうことがあります。
その時にいち早く他のマクロファージがまた取り込んでくれればいいですが、何かの事情で免疫の機能が低下していると、その間隙をぬって肺が攻撃されてしまいます。

■耐性菌が出来てしまうメカニズム
結核の治療には複数の薬を組合わせて使います。
菌は薬の攻撃を受けると死んでしまいますが、まれに薬の効かない耐性菌に変異することがあります。
そこで数種類の薬を組み合わせることで耐性菌が出来ないようにします。
ところが結核の発症直後に効いていた薬が一つまた一つと効かなくなってしまうことがあります。
菌が複数の薬に耐性を持つようになり、薬による治療が出来なくなってしまいます。
そうなると菌におかされた肺を切り取ることになってしまいます。

■薬が効かない耐性菌が生まれるきっかけ
複数の薬により治療していく途中、完全に治りきる前に治療を止めてしまうと、結核菌は止めた薬に対して耐性を持ってしまいます。
薬を飲み始めて2週間ほど経つと症状がものすごく改善します。
ところが結核が完全に治るには6〜9ヶ月程の期間が必要とされています。
薬には副作用があり、種類も多いからといって服用を中断してしまうと、そこで耐性菌が出来てしまうことになります。

■DOTS
DOTSとは直接監視下短期化学療法のことであり、薬を飲んだかどうかを誰かが確かめる仕組みのことです。

■結核危険因子
・慢性腎不全:10〜25倍
・糖尿病:2〜4倍
・免疫をおさえる薬(リウマチなど)
・ストレス
・胃かいよう

■結核を起こさないためには?
・栄養
・睡眠
・運動
・禁煙
・過度の飲酒を止める