自分で出きる片頭痛対策、頭痛ダイアリー、視床下部への刺激、三叉神経が過敏になり拍動性の痛みが起こる

原因となる病気がなく頭痛を繰り返す慢性頭痛の人は、日本人で15歳以上の約40%・4000万人の人が悩まされいるといわれています。
慢性頭痛には、ズキンズキンと頭が痛む片頭痛(へんずつう)、頭全体を締め付ける緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)、ある一定の期間に片目の奥に激烈な痛みを繰り返す群発頭痛(ぐんぱつずつう)、薬の使い過ぎによる頭痛があります。

■片頭痛(へんずつう)のメカニズム
片頭痛(へんずつう)は、脳の視床下部(ししょうかぶ)が様々な要因によって刺激を受けることで起こると考えられています。
視床下部が刺激を受けると、脳の血管の周りにある三叉神経(さんさしんけい)から神経伝達物質が放出されます。
すると三叉神経の周囲に炎症が起こり血管も拡張するために頭痛が起こります。
炎症の影響で三叉神経が過敏になり、通常であれば痛みとして感じない血管の拍動を痛みとして感じるようになるためにズキンズキンという拍動性の痛みが起こります。
頭の片側が痛む人が6割ですが、両側が痛む人も4割います。
片頭痛は4時間から3日ほど続くといわれています。

■片頭痛の特徴
・生活に支障があるような強い痛みを繰り返す
・動くと痛みがさらに強くなる

■片頭痛の引き金
・月経・排卵
・出産後・更年期
・寝不足・寝過ぎ
・空腹
・ストレスやストレスからからの解放
・まぶしい光
・強いにおい
・人ごみ
・騒音
・天候の変化
・温度の変化や高い湿度
・アルコール

脳の視床下部は、女性ホルモン、食欲、睡眠などの中枢があるところになります。
そのため視床下部が影響を受けると片頭痛が起こりやすくなります。
さらに視床下部は自律神経も司っているため、ストレスや天候の変化に影響されて片頭痛が起こると考えられています。
月経の時に起こる片頭痛は持続時間が長く、痛みが強かったり、薬が効きにくかったりします。

■危険な頭痛
突然起こる頭痛やどんどんひどくなる頭痛は、脳などの病気が原因で起こる二次性頭痛の可能性が高くなります。
二次性頭痛が考えられる場合はすぐに脳神経外科や神経内科を受診しましょう。

●くも膜下出血
ある日突然の激烈な痛みが起こった場合は、脳の動脈瘤が破裂して起こるくも膜下出血が考えられます。

●髄膜炎(ずいまくえん)
高熱を伴う頭痛が数日から数週間続いた場合は、ウイルスや細菌の炎症によって起こる髄膜炎(ずいまくえん)が考えられます。

●脳腫瘍
数週間単位でどんどん痛みがひどくなっていったり、手足の麻痺があったり、けいれんを伴う場合は、脳腫瘍の可能性が考えられます。

■片頭痛チェック
1頭の片側に起こる
2ズキンズキンと拍動性の痛み
3我慢できない痛みで仕事等に支障をきたす
4体を動かすと痛みが悪化する

5頭痛が起こると吐き気がする
6光や音に敏感になる

1〜4で2つ以上当てはまり、5〜6で1つ以上当てはまれば片頭痛の可能性が高いです。

50歳以上で初めて片頭痛のような症状を経験した場合は、脳の病気なども疑い病院を受診した方がよいです。

■自分で出きる片頭痛対策
・冷たいタオルなどで痛む箇所を冷やす
・静かな暗い場所で安静にし、可能なら睡眠をとる
・軽度な場合は市販の頭痛薬で症状を抑える
・光がまぶしくて頭痛が起こる時はサングラスが有効

市販薬が効かなかったり、頻繁に服用したり、頭痛日数が多いときは病院を受診しましょう。
かかりつけ医や内科などで十分改善しない場合は、頭痛外来、神経内科、開業医の脳神経外科などを受診してみましょう。

■片頭痛の治療
片頭痛は薬による治療が基本となります。

●トリプタン薬による片頭痛の治療
トリプタンには三叉神経から神経伝達物質が放出されるのを抑える作用があります。
それによって炎症を抑えます。
また広がり過ぎた血管にも作用して元に戻します。
トリプタンは飲み薬、口腔内崩壊錠・速溶錠、点鼻薬、皮下注射などがあります。

脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、重い高血圧、重い肝臓病のある人はトリプタンが使えません。
この場合はトリプタンのかわりに非ステロイド性消炎鎮痛薬を使います。

■頭痛ダイアリーで片頭痛対策
頭痛ダイアリーを書くことによって自分がどういうことが引き金となって頭痛が起こるかということが分かってきます。
痛みの程度、持続時間、日常生活への影響、薬の使用状況、頭痛の引き金になりそうな出来事をメモしておきます。
1ヶ月ほどつけて見返してみると頭痛が起こるときの傾向が見えてきて、それにより予防策をとることができます。