大豆タンパク質の健康効果、心疾患の減少、寝たきり時の筋力低下を軽減

畑の肉とも呼ばれる大豆には豊富なタンパク質が含まれています。
高齢者や食事の内容が偏っている人はタンパク質の摂取量を増やすことが重要だと考えられています。

肉・魚・牛乳・卵などバランスよく摂ったうえで大豆を加えると効果的といわれています。
筋力をアップして健康的に生きていくためにはタンパク質と共に運動も欠かせません。

筋力アップが期待できる大豆タンパク質は1日8g
煎り大豆 20g(60〜70粒)で大豆タンパク質は約8g含まれています。

■大豆タンパク質で筋肉がアップするメカニズム
筋肉は筋繊維の束であり、運動などをして激しく伸び縮みさせると壊れたりします。
IRS-1というタンパク質は壊れた筋繊維を修復して前よりも少し太くしてくれます。
これが筋肉がつくメカニズムになります。

筋肉は使わなくても劣化するため筋繊維は傷ついて壊れていきます。
運動が非常に少ない状態になるとユビキチンリガーゼ(Cbl-b)という物質が現れ、IRS-1というタンパク質に近づいて動けなくしてしまいます。
そのため筋繊維の修復が出来ず、どんどん衰えていきます。

大豆タンパク質は動けなくなったIRS-1タンパク質の身代わりになり、IRS-1タンパク質を動けるようにしてくれます。
そして壊れた筋繊維を前よりも少し太くしてくれます。
結果、筋肉がアップします。

肉や魚にも豊富なタンパク質が含まれていますが大豆タンパク質には特殊な構造をした突起があります。
この突起によりユビキチンリガーゼ(Cbl-b)からIRS-1たんぱく質を助けることが可能となっています。

タンパク質は体内で20種類のアミノ酸に分解されるので内容は一緒になります。
最近の研究ではアミノ酸に分解される前の状態でもタンパク質が体内に取り込まれる場合があることが分かってきています。
魚や肉は筋肉を作るもとになるアミノ酸を供給しています。
大豆だけ食べればいいというわけではありません。

■大豆タンパク質で寝たきり時の筋力低下を軽減
脳梗塞や骨折で動きが制限されると筋肉が萎縮し始めます。
治る間の数カ月間寝たきりでいると筋肉がとても細くなっていきリハビリが大変になります。
その間に大豆タンパク質をとって筋力が減らなければリハビリもすぐに開始できるようになると考えられています。
ただし3割近くの人には効果が見られなかったという報告もあり、健常者の筋肉への大豆効果は研究中だそうです。
若い時から大豆タンパク質を多く摂るようにしていると予防効果も期待できます。

■大豆にタンパク質が豊富な理由
大豆は栄養がほとんどない土地でも元気に育つ点があげられます。
大量のたんぱく質を作り出す秘密は根にあります。
大豆の根には根粒(こんりゅう)というものが出来ます。
根粒(こんりゅう)は植物の成長に欠かせない窒素を空気中から直接取り込む能力があります。
タンパク質の合成には窒素が不可欠で、窒素がどんどん供給されるおかげでタンパク質が豊富な大豆が出来ます。

■大豆タンパク質25gで心疾患が減少
大豆には食べ物に含まれる脂質の吸収を妨げる働きがあります。
その結果、動脈硬化や心疾患が減ると考えられています。
大豆をたくさん食べた人ほど心筋梗塞で亡くなる確率が減るという研究報告もあります。

■大豆を食べるときの注意点
大豆は生では食べられません。
煎り大豆も高齢者や胃腸の弱い人にはあまり消化がよくないで、一度に食べ過ぎないようにしましょう。
大豆アレルギーに注意しましょう。