腰痛の原因を見分けるポイント、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症による腰痛

腰痛で悩んでいる人は2800万人もいて、日本人の4人に1人が腰痛を患っているといわれています。
腰から背中は、体の他の部分よりも皮膚や筋肉に痛みを感じとる知覚神経の量が少ないために鈍いとされています。
そのため腰痛といってもかなり広い範囲があるため、腰痛を患っている人自身もどこが痛いかということを適切に判断できません。

■腰痛が起こった時は日常生活では安静よりも動いた方が良い
腰痛が起こった時は、痛みが強くなる動作を避けながら出来るだけ活動性を維持しながら治療ちていくことが大切になります。
腰痛時に安静にし過ぎると、筋肉や関節の機能が低下し、血流が悪くなり、腰痛の症状が悪化することもあります。
痛みが強くなる動作を避けながらも、適度な運動を心掛けることも大切になります。

■腰痛の原因を見分けるポイント
・姿勢によって腰の痛みが変化する  → 整形外科的な原因による腰痛
・姿勢によって腰の痛みが変化しない → 内科的な原因による腰痛
・座っている時に腰が痛い      → 椎間板ヘルニアによる腰痛
・後ろに反った時に腰が痛い     → 脊柱管狭窄症による腰痛
・立ち上がる時に腰が痛い      → 圧迫骨折による腰痛

腰痛は姿勢の変化や運動によって痛みが起こるかどうかということが重要なポイントです。
姿勢によって腰の痛みが変化する場合は、整形外科的な疾患の可能性があります。
姿勢によって腰の痛みが変化しない場合は、内科的な疾患の可能性があります。

■整形外科的な疾患の腰痛
姿勢によって腰の痛みが変化する場合は、どんな姿勢の時に痛むかがポイントです。
座っている時、立っている時、歩いている時、後ろに反った時など、どの動きで腰の痛みが変化するかを確認します。
整形外科的な腰痛としては、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などがあります。

■椎間板ヘルニアによる腰痛(整形外科的な腰痛)
立っている時は腰が痛くないのに座っていると腰が痛い人は、椎間板ヘルニアの可能性があります。
椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある椎間板がはみ出して神経を圧迫してしまう病気です。

■脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)による腰痛(整形外科的な腰痛)
立っている時、歩いている時、後ろに反った時に腰が痛い人は、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)の可能性があります。
脊柱管狭窄症とは、加齢によって椎間板や骨が変形してしまう病気です。
そのために神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こします。

■圧迫骨折(あっぱくこっせつ)による腰痛(整形外科的な腰痛)
背骨には立っているだけでも体重の2倍の負荷がかかっているといわれています。
その圧力に背骨が耐えられなくなって潰れてしまうのが圧迫骨折(あっぱくこっせつ)です。
圧迫骨折の原因のほとんどが骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といわれています。
骨の新陳代謝が悪くなり、骨がもろくなったために起こります。
骨粗鬆症が進行すると、日常生活のちょっとした動きでも圧迫骨折を起こす危険性があります。
そのまま骨が固まってしまうと、背中が丸まって生活できなくなってしまうこともあります。
圧迫骨折を起こすと、寝ていて起きた時や座っていて立ち上がった時に痛みが起こります。

■尿路結石(にょうろけっせき)による腰痛(内科的な腰痛)
尿路結石(にょうろけっせき)とは、腎臓に出来た結石が尿路に詰まり尿を妨げる病気です。
結石は尿に含まれるカルシウムが何らかの原因で結晶化したもので、それが大きくなり尿路に詰まります。
結石が大きくなる原因の多くが、生活習慣だといわれています。
尿路結石を放置すると、腎不全や細菌が血液に乗って全身に広がる敗血症(はいけっしょう)などの命の危険もある病気を引き起こす危険性があります。
尿路結石による腰痛は、通常の腰痛と違って周囲的な激痛と痛みの左右差があります。

●尿路結石による腰痛を見分けるポイント
・姿勢によって痛みが変わらない
・ある日突然に激痛が起こる
・片側だけ痛む

■腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう)による腰痛(内科的な腰痛)
大動脈とは、身体の中で最も太い血管のことをいいます。
大動脈は内膜・中膜・外膜の3層構造になっています。
何らかの原因で内膜が裂け、血液が中膜に入り込んで膨らんだ状態を大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)といいます。
血が溜まり過ぎて破裂すると突然死を起こすこともあります。
大動脈瘤の主な原因としては、高血圧や喫煙が考えられています。
大動脈瘤は裂け始める時に強い痛みが出て、突然激痛が腰から背中に走ります。
心臓の拍動(はくどう)に合ったような痛みの増強が見られることが多いです。

●大動脈瘤による腰痛を見分けるポイント
・姿勢によって痛みが変わらない
・ある日突然激痛が起こる
・拍動性の痛みがある

■卵巣癌(らんそうがん)による腰痛(内科的な腰痛)
卵巣癌(らんそうがん)とは、子宮の両側にある卵巣に出来た癌です。
卵巣は身体の奥にある内臓のため、癌がある程度進行するまで症状はほとんど現れません。
腰痛に関する神経と内臓の痛みに関係する神経はとても近接しています。
卵巣同様に、脊椎の周りに位置している内臓が癌になると、腰痛が現れてくることもあります。
膵臓癌、肝臓癌、尿路系の癌などに注意が必要です。

●卵巣癌による腰痛を見分けるポイント
・姿勢によって痛みが変わらない
・鈍痛がじわじわ3ヶ月以上続く