肺炎予防法!マイコプラズマ肺炎、耐性菌、インフルエンザウイルス!

肺炎予防法!マイコプラズマ肺炎、耐性菌、インフルエンザウイルス!肺炎球菌は普段は人間のノドや鼻の奥に生息していますが、肺胞の中に入って増殖すると強い病原性を発揮して炎症を引き起こします。肺炎を予防する呼吸法

■肺炎とカゼ
肺炎による年間の死亡者数は10万人で、ガンや心臓病などについで日本人の死亡原因第4位にあげられています。
カゼと肺炎はまったく違うものになります。
カゼの場合はノドから上になりますが、肺炎の場合は肺で起こっている炎症なので起こっている場所が違います。
呼吸を司る中でも鼻から声帯までの空気の通り道を上気道(じょうきどう)と呼び、声帯より下を下気道(かきどう)と呼んでいます。
下気道には気管や気管支、さらにそこから20回以上枝分かれして一番奥に肺胞(はいほう)と呼ばれる器官があります。
肺胞は血液が運んできた二酸化炭素と酸素を交換する呼吸の要になる器官です。
肺炎とはこの肺胞に炎症が起こっている状態をいいます。
ちなみに上気道で起こる炎症は上気道炎と呼び、実はこれこそが私達に身近なカゼのことで、上気道炎はその正式名称になります。

■カゼはウイルス、肺炎は細菌
カゼの原因がウイルスなのに対して、肺炎の原因の多くは細菌です。
その種類は実に100以上とも言われています。
そんな原因菌の中でも最大勢力をほこるのが肺炎球菌です。
肺炎球菌は普段は人間のノドや鼻の奥に生息していますが、肺胞の中に入って増殖すると強い病原性を発揮して炎症を引き起こします。

■肺炎球菌による肺炎
肺炎球菌による肺炎の症状としては、まず悪寒を伴う40度近くの熱が急に出るのが特徴です。
その後激しい咳や血液が混じったタン、するどい胸の痛みなどをともないます。
適切な治療をしないかぎり治らず、最悪の場合は命にもかかわる恐ろしい病気です。
しかも菌を持った人が人前で咳やくしゃみをすれば、唾液などを介して菌の分布は一気に拡大していきます。
実際、原因菌を保有している人の割り合いは5割にものぼっています。
肺炎球菌は持っているだけでは肺炎ではありません。
肺に入って炎症を起こして初めて肺炎になります。

■唾液の肺炎予防の働き
私達の体内に害のある細菌が進入すると、まず活躍してくれるのが「唾液」です。
唾液自身の抗菌・殺菌機能に加え、唾液に細菌を付着させ菌を一緒に飲み込み分解してくれます。

■喉頭蓋(こうとうがい)の肺炎予防の働き
喉頭蓋(こうとうがい)は呼吸時は開き、食べ物や飲み物が入ってくると気管に入らないようにフタをし、肺に細菌を入らないようにしています。
フタが閉まる速度は0.7〜1秒ほど。
この機能で食べ物や唾液に付着した細菌の肺への進入を防いでくれます。
しかし喉頭蓋(こうとうがい)は加齢により機能が衰えてしまいます。
そのため高齢者は肺に細菌が入りやすく、肺炎のリスクが高くなってしまいます。

■線毛細胞の肺炎予防の働き
肺には毛が生えていて異物や細菌をかき出してくれています。
線毛細胞は肺や気管・気管支の表面に生えていて、異物が入ると毛のカベでかき出して気道の外へ運び、タンや咳に乗せ体外に排出させます。
この毛が動くためには十分な水分が必要となります。
冬に肺炎が流行る原因の一つは、乾燥で線毛細胞の動きが鈍くなることにあります。
ウイルスの感染の多くが、この線毛の働きを止めてしまいます。
そのためカゼかかると2週間ほど線毛の動きが鈍くなり、肺炎になりやすい状態になってしまいます。
線毛の動きが鈍くなった結果、肺炎の菌が肺に侵入しやすくなってしまいます。

■肺炎球菌による肺炎の治療法
肺炎の原因菌が特定していれば、抗生物質を服用もしくは点滴して治療します。

■耐性菌
肺炎球菌によって発症する肺炎のほとんどは投薬治療で完治できますが、中には薬が効かない細菌が存在します。 それが耐性菌です。
耐性菌は何度も同じ薬を使うことで性質が変わり薬が効かなくなった菌です。
もし耐性菌で肺炎が起こってしまった場合は、初期治療はうまくいかず症状が悪化・長期化することがあります。

■マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎にかかる人は幼児あるいは学童期いわゆる小児層が多くかかります。
その症状は高熱などはあまり出ず、微熱が続くという肺炎の中では比較的軽いものです。
しかしそれこそがこの肺炎の落とし穴。
症状が軽いため医者ですら気付かないことがあり、重病ではないからと菌を持ったまま外出する患者が続出。
他の細菌よりも粒子が小さいことも重なって行く先々で細菌がが飛散してしまい、集団感染のリスクが非常に高くなってしまいます。
また子供の時に感染したことのない大人が感染すれば、重症化の恐れもある恐ろしい肺炎です。

■インフルエンザウイルスによる肺炎
肺炎の主な原因は細菌ですが細菌は自己治癒力では退治できず、薬での治療が必要になります。
一方カゼの原因となるウイルスは、安静にしていれば自己治癒力でほぼ退治できます。
またウイルスは主にノドでしか増殖しないため、肺炎の原因になりにくい。
しかしそんなウイルスの中にも唯一肺炎を引き起こすものがあります。
それが毎年冬に流行るインフルエンザウイルスです。
インフルエンザウイルスは他のウイルスよりも増殖力が強く、のどや気管支はもちろん肺胞でも炎症を起こす性質があります。
しかもその症状は細菌によるものより重症です。
インフルエンザの場合は、場合によっては数時間で悪くなるので、重症度ということでは圧倒的にインフルエンザ肺炎の方が悪いということになります。
インフルエンザ肺炎は発症からわずか1日ほどで高熱・呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合は命を落とす危険性があります。
重症化するのは、妊娠中の女性や子供、65歳以上の高齢者、また糖尿病、肺や心臓などの疾患、ステロイド薬や抗ガン剤などを使用している人も重症化の恐れがあります。

■各肺炎の対策法
●耐性菌による肺炎

適切な抗菌薬を服用する。
適切な量を必要な期間できちんと服用する。
以前の処方箋は使用しない。

●マイコプラズマ肺炎
カゼと症状が似ているので自己判断しない。
熱が3日以上続いたら肺炎を疑い病院へ。

●インフルエンザウイルスによる肺炎
毎年ワクチンを摂取する。
ワクチンをすればインフルエンザにかからないと思っている人がいますが、そこまでは期待できません。
ワクチンを打っておくと肺炎になる可能性が低くなります。
悪くしないために摂取しておくことが重要になります。

■肺炎予防法
原因菌が住みつかないように肺の状態をきれいに保つことが大事です。
肺を全て使って、肺の空気を入れ替えることが重要になります。

■肺炎を予防する呼吸法
口をすぼめて肺の中の空気を出し切ります
ゆっくり鼻から空気を吸い、吸えなくなったところで3秒数えます
もう一度口をすぼめ息を静かに出し切ります

これを3セットずつ、朝晩2回行い肺の病気を防ぎましょう。
この呼吸法で咳き込む場合は、肺の病気にかかっている可能性があります。

■その他の肺炎予防法
・手洗いとうがい
・口の中の菌をなくす口腔ケア
・禁煙により肺の機能を維持する
・高齢者の人は喉頭蓋の衰えをカバーするためにゆっくり食べる