内臓のむくみ、肺のむくみ、心不全・慢性腎臓病・肝硬変がむくみの原因

仰向けになると苦しい、簡単な運動でも息切れする、時間が経ってもむくみが消えないなどの症状がある時は、内臓にむくみが起きている可能性があります。
これらの症状は肺のむくみに原因があります。
肺のむくみは、心不全・慢性腎臓病・肝硬変が原因となっている可能性があります。

■むくみについて
むくみとは、血管から水分が染み出して細胞の間に溜まり水浸しになった状態をいいます。
近年では、慢性の夏バテなどが原因となって、顔や足などにむくみがなくても内臓にむくみが起きている人が増えています。

■夜のセキは肺のむくみが原因
夜になると出てくるセキは肺がむくんでいる可能性があります。
肺は空気を取り込むために中は空洞になっています。
そのため様々な原因でむくみが進行し、血管から水が漏れ出すと肺の空洞に水が溜まってしまいます。
この状態で横になると、水が肺全体に広がってしまい息苦しくなってセキなどが出たりします。

■肺のむくみは大きな病気の徴候
肺がむくむ原因には、肺そのものではなく他の臓器に原因があります。
それは他の臓器の大きな病気の徴候でもあります。

■肺のむくみの症状
・仰向けになると苦しい
・簡単な運動でも息切れする
・時間が経ってもむくみが消えない

■内臓のむくみチェック
手の甲を押して放します。
すぐに戻らなければ内臓がむくんでいる可能性があります。

■心不全が肺のむくみの原因
肺がむくんでいる人で一番多い理由は、心臓に原因があります。
放置すると心臓の機能が低下し突然死する危険性があります。
心臓は肺から流れてくる血液を左心室から全身へと送り出しています。
ところが何らかの原因で左心室の動きが悪くなると、血液を送り出す量が減って血液の流れが滞ってしまいます。
すると肺から心臓につながる血管が渋滞し、余った水分が肺の血管から大量に染み出してしまいます。
これが肺にむくみがが起きる原因です。
胃がむくむと胃もたれが起こり、肝臓がむくむと倦怠感などの機能不全が起こります。
これも心不全の徴候の一つです。
慢性心不全の状態を放置すると、半数の人が5年以内に死に至るともいわれています。
肺のむくみは心房細動(しんぼうさいどう)や心臓の弁が壊れる弁膜症でも起きるため循環器の患者に多くなっています。

■内臓のむくみと症状
・胃腸のむくみ:胃もたれ、下痢
・腎臓のむくみ:夜間頻尿
・肝臓のむくみ:倦怠感

■心不全の予防法
心不全の予防には、減塩や適度な運動で動脈硬化を起こさない生活をすることが大切になります。
1日の食塩摂取量の目安は10g未満(小さじ大盛り1杯)とされています。
1日に最低限必要な食塩量は1.5gといわれています。

■慢性腎臓病が肺のむくみの原因
慢性腎臓病とは、、腎臓の機能が衰えて体内の毒素が排出できない病気です。
慢性腎臓病は進行するまで症状が現れないため気付きにくく、倦怠感や貧血などの症状が出始めた後では、腎臓はもう元に戻らないといわれています。
慢性腎臓病は腎臓の働きが悪いため上手く尿を作れないため、体中に水が溜まってしまいます。
体中に余った水分は、内臓で唯一隙間の空いている肺へと集まり肺にむくみが起こります。
腎機能が60%を切ると肺にむくみが出る可能性がありますが、この時点で発見することができれば十分治療が間に合います。

■慢性腎臓病の予防法
・減塩
・タンパク質を控える

タンパク質に分解する際に老廃物が出るため、腎臓への負担が増えて処理し切れなくなってしまいます。
高血圧、メタボ、糖尿病、動脈硬化があると腎臓の機能が低下しやすいので注意が必要です。

■肝硬変が肺のむくみの原因
肝硬変とは、アルコールや肝炎ウイルスなどが原因で肝臓が慢性的な炎症を起こし、回復できないところにまで進行してしまった病気です。
肝機能がかなり低下し、肝臓が硬く小さく変化してしまいます。
肝臓はアルコールの分解や栄養素の貯蔵など500種類以上の働きをしています。
その重要な働きの一つがタンパク質の合成です。
肝硬変になるとタンパク質合成の機能が衰え、血液に流れるタンパク質が減少します。
タンパク質には水分を引き止めておく力があるため、減少すると内臓へ水が漏れやすくなってしまいます。
漏れ出した水分は隙間の空いている肺へと集まり、肺にむくみが起こります。
肝硬変が進行すると肝臓近くの腸からも水が漏れ出し、内臓の間に水が溜まる腹水になることがあります。